改訂第4版 外傷初期看護ガイドラインJNTEC
- 定価 7,920円(税込)
- 監修:一般社団法人 日本救急看護学会
- 編集協力:一般社団法人 日本臨床救急医学会
- 4版・A4・368ページ・並製
- 発行年月:2018年09月
- ISBN 978-4-89269-958-0
- ※記載されている所属・肩書は、出版当時のものです。
外傷初期看護学習者の必携書、最新改訂版
【本書の概要】
日本救急看護学会主催のJNTECコースでは,外傷初期診療の一翼を担う看護師が,病院前救護・病院内医療と整合性を深めた外傷初期看護の知識・技術を習得することを目的としています。本書はそのテキストの改訂第4版で,最新の知見をもとに,外傷初期診療と看護,外傷初期病態の診断・治療,外傷初期診療時のアセスメント,外傷患者に対する基本的処置と対応,コースの実際などを詳しく解説しています。
【改訂のポイント】
・新たに「画像診断と評価」「家族・関係者のアセスメント」などの項目を追加しました。
・「Ⅳ章 外傷初期診療時のアセスメント」の各項目に“看護のポイント”の解説を追加しました。
・JATEC改訂第5版に準じて項目立てや内容を見直し,「熱傷・電撃傷」の項目追加などを行いました。
【関連書籍】
『改訂第2版 ファーストエイド』はこちら
『看護師のための 院内トリアージテキスト』はこちら
『緊急度判定支援システム JTAS2017ガイドブック』はこちら
『改訂第2版 JPTECガイドブック』はこちら
Ⅰ 外傷初期看護緒言
外傷初期看護緒言
わが国の救急医療の現状と外傷初期診療/外傷初期看護への取り組み/外傷看護学への誘い
Ⅱ 外傷初期診療と看護
1.救急医療における診療の標準化とJNTECTM の位置づけ・役割
診療を標準化させることの意義/外傷診療におけるJNTECTMの役割
2.外傷初期診療と看護の役割
外傷初期診療のチーム医療/外傷医療チームにおける看護師の位置づけ/看護過程と外傷看護の展開
3.外傷初期診療における看護活動
病院前医療とJNTECTM /外傷患者の緊急度判定/外傷患者を受け入れる環境/救急隊員との連携/医療スタッフとの連携/診療の補助/患者および家族・関係者への対応/患者の擁護/記録のあり方・法的意義
Ⅲ 外傷初期病態の診断・治療
1.外傷初期診療の実際
患者受け入れの準備/Primary surveyと蘇生/転院の判断または医師の応援要請/Secondary survey/根本治療/根本治療のための転院の判断または医師の応援要請/Tertiary survey/まとめ
2.ショック
ショックの定義・病態生理/ショックへの対応/まとめ
3.頭部外傷
解剖/分類/初期診療/治療と看護のポイント/まとめ
4.顔面外傷
解剖/病態/分類/初期治療/まとめ
5.頸部外傷
解剖/病態/初期診療/まとめ
6.胸部外傷
解剖/受傷機転/病態/初期診療/まとめ
7.腹部外傷
解剖/受傷機転/緊急を要する病態/初期診療/血液・尿検査/画像診断/診断的腹腔吸引・洗浄法/穿通性損傷の評価/治療と看護のポイント/まとめ
8.骨盤外傷
解剖/分類/初期診療/画像診断/治療法/合併症/看護のポイント
9.脊椎・脊髄の損傷
解剖と外傷パターン/脊椎保護の臨床的意義/診断と治療/看護のポイント/まとめ
10.四肢外傷
初期診療/注意を要する特殊な病態/入院後に注意すること/まとめ
11.多発外傷
定義/病態/初期診療/まとめ
12.熱傷・電撃傷
分類/初期診療/注意を要する特殊な病態/まとめ
13.小児の外傷
外傷患児の準備と受け入れ/初期診療のポイント/小児外傷の特徴/児童虐待への注意/看護のポイント
14.妊婦の外傷
妊婦の外傷とその対応の原則/妊娠に伴う身体の構造と機能の変化/妊婦の外傷と評価の原則/外傷妊婦での問診のポイント/母体への根本治療/まとめ
15.高齢者の外傷
高齢者の疫学/高齢者の特徴/初期診療における看護のポイント/外傷部位別にみた特殊性/まとめ
16.画像診断と評価
Primary surveyにおける画像検査/Secondary surveyにおける画像検査/画像読影
Ⅳ 外傷初期診療時のアセスメント
1.受傷機転とアセスメント
受傷機転による緊急度・重症度の評価/外傷の分類/損傷発生のメカニズム/受傷機転からみた損傷の特徴/受傷要因となる内因性疾患/看護のポイント/まとめ
2.第一印象のアセスメント
第一印象とは/第一印象のアセスメント方法/看護のポイント
3.問診とアセスメント
問診とは/問診の基本的な方法外傷初期診療時の問診とアセスメント/看護のポイント
4.気道(A)のアセスメント
外傷患者と気道/気道障害時のアセスメント/外傷患者の気道の特徴/気道の観察の進め方/看護のポイント
5.呼吸(B)のアセスメント
外傷患者と呼吸/呼吸のアセスメント/外傷患者の呼吸の特徴/呼吸の観察の進め方/看護のポイント
6.循環(C)のアセスメント
外傷患者の循環障害とその特徴/循環動態のアセスメント/出血性ショックの重症度とその評価法/初期輸液療法に対する反応をとらえる/外傷がもたらすショックの特徴/心原性ショックによる循環の変調/神経原性ショックによる循環の変調/看護のポイント
7.意識障害(D)のアセスメント
外傷患者における意識障害のアセスメント/意識レベルの評価/その他の神経学的意識評価/「切迫するD」の判断/看護のポイント
8.体温異常(E)のアセスメント
外傷患者の体温アセスメント/看護のポイント
9.代謝異常のアセスメント
外傷時の代謝異常のアセスメント/看護のポイント
10.精神症状のアセスメント
外傷患者にみられる一般的精神症状とアセスメント/精神障害のある外傷患者のアセスメント/看護のポイント
11.小児外傷のアセスメント
受け入れ準備/初期診療でのアセスメント/看護のポイント
12.妊婦外傷のアセスメント
外傷を受けた妊婦への対応/外傷を受けた妊婦のアセスメント/看護のポイント
13.高齢者外傷のアセスメント
受け入れ準備と第一印象/移動と体位管理/気道確保と呼吸管理/循環管理/意識障害/体温管理と脱衣/家族・関係者とのコミュニケーション/看護のポイント
14.家族・関係者のアセスメント
家族の心理的・社会的特徴/関係者の心理的・社会的特徴/家族のニード/待機家族・関係者の認識と行動の特徴/看護のポイント
Ⅴ 外傷患者に対する基本的処置と対応
1.外傷初期診療に求められる環境
外傷患者を受け入れる病院施設の環境/その他の環境/救急処置室(初療室)の環境/救急処置室(初療室)での診察の調整/安全管理への配慮/保温と所持品の管理/効果的な情報の収集と正確な看護記録に努める環境/患者のプライバシーが保持できる環境/家族が待機すべき環境への配慮
2.外傷初期診療に必要な物品
3.外傷初期診療の標準予防策
標準予防策(スタンダードプリコーション)/外傷初期診療時の具体的対策
4.頸椎保護とアンパッケージング
用手的正中中間位固定法による頸椎保護/頸椎の安静保持を促す/頸椎カラー/アンパッケージング/頸椎カラーの除去/パッケージング(全身固定)
5.気道(A)の異常に対する基本的処置と対応
用手的気道確保/口腔内吸引・異物除去/器具を用いた気道確保/外科的手技を用いた気道確保
6.呼吸障害(B)に対する基本的処置と対応
酸素投与/人工呼吸/輪状甲状靱帯穿刺後の換気
7.循環障害(C)に対する基本的処置と対応
外出血の止血/静脈路の確保/骨髄路の確保/輸液(静脈路・骨髄路)/輸血/閉塞性ショックの場合の基本的処置/骨盤外傷/腹部外傷の開腹術の判断/神経原性ショックの場合の基本的処置/画像検査法
8.意識障害(D)に対する基本的処置と対応
意識障害時の基本的処置/気道・呼吸・循環の安定とDの評価/一次性脳損傷と二次性脳損傷/「切迫するD」への対応/頭蓋内圧亢進時の対応/病歴聴取/軽症・中等症頭部外傷への対応
9.体温異常(E)に対する基本的処置と対応
低体温の要因と把握/体温異常に対する基本的処置
10.外傷部位に応じた初期対応と基本的処置
皮膚・軟部組織欠損/一般的な創傷の種類と処置/四肢外傷/顔面外傷・頸部外傷/熱傷・電撃傷
11.体位管理
脊椎の保護/体位変換/体位変換時における看護師の役割
12.疼痛管理
痛みのメカニズム/鎮痛薬使用における注意点/外傷の種類による疼痛管理の特徴/まとめ
13.精神症状に対する基本的処置と対応
一般的精神症状に対する基本的対応/精神障害をきたしている患者への基本的処置と対応
14.外傷患者の精神的ケア(心のケア)
外傷患者の特徴/外傷患者の心理
15.外傷患者家族・関係者のケア(心のケア)
外傷患者家族・関係者の対応に効果的なコミュニケーションスキル/外傷患者の家族・関係者へのケア/死の転帰となった患者家族へのケア
Ⅵ 外傷初期看護学習コースの実際
1.外傷初期看護学習コースの概要
外傷初期看護学習コースの目的と目標/外傷初期看護の実際
2.外傷初期看護学習内容の解説
受け入れ準備・第一印象/致死的胸部外傷/ショック/蘇生処置/「切迫するD」/脊椎保護・体位管理/家族・関係者対応/チーム医療
Appendix
1.外傷疫学
外傷と死亡/外傷と診療/外傷と救急医療/外傷と疾病負担/外傷登録
2.外傷の重症度評価
重症度評価の意義/重症度評価の指標/実際の臨床への応用
3.病院前医療とJNTECTM の実際
ドクターヘリ,ドクターカー/複数傷病者対応/病院間搬送/JPTEC
4.外傷診療にかかわる法律と倫理
倫理と法律の違い/医療事故と医療過誤/医療従事者が問われる可能性がある法的責任/プレホスピタルケアの充実を図る目的で作られた法律―救急救命士法/保健師助産師看護師法第37条の規定/その時代の医療レベルを実践しなければならないという倫理―EBMに則った医療の実践/医療技術的には可能だが,行われていなかった医療の変革/脳死患者や救命の可能性がきわめて低くなった患者の終末期医療/患者やその家族との意見の相違を解決するための方策―救急現場の臨床倫理/医師の法律上の義務の例/賠償問題が絡む心的外傷後ストレス障害(PTSD)/裁判事例から
5.臨床教育とシミュレーション技法
臨床教育/シミュレーション技法/外傷初期診療における看護師の役割/看護師による外傷初期診療シミュレーション技法と今後の課題
外傷初期看護セミナー(JNTEC)・プロバイダーコース
本コースは、わが国の「防ぎ得た外傷死」Preventable Trauma Death:PTDを予防するため、JATEC(外傷初期診療ガイドライン)やJPTEC(院前外傷教育プログラム)と整合性を深め、外傷初期看護の質の向上を目指しその知識、技術を習得するための教育コースである。((一社)日本救急看護学会ウェブサイトより)