外科学臨床講義Ⅲ

外科学臨床講義Ⅲ

考える臨床医であるために知っておきたい外科学の最近の進歩

  • 定価 14,300円(税込)
  • 著:小川 道雄
  • B5・360ページ・上製 函入
  • 発行年月:2003年10月
  • ISBN 978-4-89269-454-7
  • ※記載されている所属・肩書は、出版当時のものです。

第3巻では2000から2002年までの3年間に行った臨床講義を収載してあり、本書を持って、著者が熊本大学で行った臨床講義全てを記録にとどめることになる。

侵 襲
1 われわれはいかにして侵襲に耐え生き延びているか
1 侵襲に際して生体内では生き延びるための反応(生体防御反応)が起きる
2 サイトカインの誘導量は侵襲の大きさを表している
3 生体防御反応の1つに好中球が重要臓器に集積するという反応もある
4 臓器不全の発生には好中球が関与している
5 臓器不全の発症機序の1つとしての second attack theory
6 生体防御に出てくる役者がそのまま臓器障害にも出てくる
7 生体防御反応には炎症反応を止めようとする反応もある
8 全身の抗炎症反応が高まると易感染性となる

9 臓器不全が発症しないようにするにはどうするか
10 生体の生き延びるための反応はどのように統制されているのか
11 群れとしての鳥の行動はどこかで制御されているのだろうか
12 侵襲に対して細胞は自動的に自分のできることしかしていないにもかかわらず,生体が生き延びている仕組みを明らかにする-侵襲学の目指すもの
2 なぜ重症急性膵炎は難病なのか
1 急性膵炎の診断は難しい
2 急性膵炎患者の重症度の経過を知ることができるようになった
3 SIRSは急性疾患の要注意患者を拾い上げるための診断基準である
4 SIRS状態の背後には高サイトカイン血症がある
5 入院時および発症時に算出した重症度スコアは予後予測に役立つ
6 重症急性膵炎患者の死因は多臓器不全である
7 急性膵炎の発症初期には膵局所でも全身でも炎症反応が強い
8 続いて膵局所の炎症反応に対するフィードバックシステムが作動し,全身では抗炎症反応が起こる
9 生体防御反応が高いほど臓器不全発症の危険性も高い
10 重症急性膵炎をどのように治療するか
11 重症急性膵炎には2つの病型-全身・電撃進行型と局所・持続進展型-がある
12 全身・電撃進行型と局所・持続進展型を分けるのは何か
13 近い将来には個別化医療 (individualized medicine)の時代になる
腫 瘍
3 Helicobacter pyloriと胃癌
1 H. pyloriはどのようにして培養されたか
2 H. pyloriが胃炎や消化性潰瘍の原因菌であるということを証明するにはどうしたらよいか
3 原因菌であることを証明するために,マーシャルは菌のコロニーを服用した
4 腸上皮化生はなぜ起こるのか
5 なぜH. pyloriは腸上皮化生粘膜には生息しないのか
6 H. pyloriの感染率は社会経済状態と密接に関係している
7 H. pyloriの感染はどのような経路で起こるか
8 H. pyloriはどのようにして粘膜を傷害するのか
9 なぜ胃上皮化生が起こるのか
10 H. pyloriはどのようにして十二指腸潰瘍の発生に関係するのか
11 H. pyloriを除菌するのにプロトンポンプ・インヒビターを同時投与するのはなぜか
12 消化性潰瘍はなぜ多発しないのか
13 H. pyloriは胃癌の発生にも関係しているのではないか
14 どのようにしてH. pyloriは胃癌を発生させるのか
15 H. pylori感染と胃癌の発生が関係しているとしたら,どのような条件が満たされなければならないか
16 H. pylori感染は胃癌の発生と関係している
17 H. pyloriを除菌したら胃癌になりにくいか
18 H. pyloriはいつ頃から注目されるようになったか
19 H. pylori感染は過形成性ポリープ,胃腺腫,MALTリンパ腫の発生にも関係しているのではないか
20 H. pylori感染者のごく一部しか胃癌や消化性潰瘍にならないのはなぜか
21 H. pyloriの感染で異なった胃疾患が生じるのはなぜか
22 われわれの遺伝子構造は個人個人で大きな違いがあり,それが胃疾患の発生の相違につながっている
23 医学は日々進歩し新しい知見が加わっている
24 医師は「いまだったら治療できた」と言えるように,医学の進歩を一生学び続けなければならない
4 肝細胞癌に対する低侵襲手術
1 わが国の肝細胞癌の特徴を復習する
2 肝細胞癌の局所再発と新発生をどのように区別するか
3 肝細胞癌はどのように治療されているか
4 侵襲の大きな手術によってどのようなことが起こるのか
5 肝細胞癌に対する低侵襲手術でどのような治療成績が得られているか
6 なぜ低侵襲手術を目指すのか
5 膵癌はなぜ悪性なのか
1 癌の悪性度をどのように診断しているか
2 膵癌はなぜ悪性度が高いのか
3 膵癌患者の5年生存率と5年以上生存者数が一致しないのはなぜか
4 Kaplan-Meier法による累積生存率はどのように出すのか
5 膵癌の実際の5年生存率はどのぐらいか
6 膵癌の悪性度が高いのはなぜか
7 膵癌患者の予後の改善には早期発見しかない
8 これからも癌患者は増え続ける
9 外科医は内科医よりも偉くなければならない
6 根治手術不能の進行癌・再発癌に対する姑息手術
1 癌の手術には根治手術の他に姑息手術がある
2 体表面にできた癌潰瘍に対して姑息的切除・再建術を行ってQOLの改善をはかる
3 対症的手術(治療)はどのようなとき行われるか
4 現在でもなお姑息手術を行うような症例が多い
5 治療法を選択するとき,最近の分子生物学の進歩によって明らかにされた知見を考慮に入れる
6 手術侵襲を全身に伝え,生体の内部環境を回復するためにサイトカインが誘導される
7 癌細胞はサイトカインの信号を受け取るためのレセプターをもっている
8 姑息手術を選択したときは,誘導されるサイトカインが遺残癌細胞の増殖,進展,転移に有利に働くことを知って手術を行わねばならない
9 姑息手術にあってはできるだけ侵襲の小さい治療法を選択する
10 侵襲時のサイトカインの誘導量に個体差があることが明らかになってきた
11 進行癌・再発癌に対する姑息手術にはどのような意義があるか,行うときにどのような注意が必要か
7 遺伝子多型を知ることは癌の予防・治療に役立つ
1 薬剤の代謝にも,手術侵襲に対する反応にも大きな個体差がある
2 個体差を決める遺伝子多型にはどのようなものがあるか
3 一塩基置換 (SNP) でどのようにして違いが出てくるのか
4 遺伝子多型はどのようにして癌の発生やその治療に関与してくるのか
5 移植や臓器不全の発症に関与する遺伝子多型が次々に報告されている
6 抗癌剤パクリタキセルはどのように代謝されるのか
7 パクリタキセルの代謝に遺伝子多型はどのように関与しているか
8 大酒家にも一滴もアルコールを飲めない人にも,同じように1ボトルのウイスキーを飲ませている
9 遺伝子多型をどのように調べるのか
10 遺伝子多型の頻度は人種間で大きく相違している
11 遺伝子多型に基づいた「個別化医療」を行う時代がすぐに来る
12 臨床講義ではこれからの時代の医師が知っておくべきことを話す
ケ ア
8 末期癌の痛みに我慢を強いてはならない
1 われわれは癌の末期の痛みを止めると,かえって身体を悪くすると教えられてきた
2 癌の末期に一番つらいのは痛みだが,わが国のモルヒネ消費量は少ない
3 血中のモルヒネ量をある一定のレベルにするなら,高い精神活動を保つことができる
4 末期癌の痛みの特徴は何か
5 WHOは2000年までに癌の痛みから解放すると宣言した
6 WHO方式の癌疼痛治療の基本的な考え方はどのようなものか
7 モルヒネの服薬指導をどのように行うか
8 モルヒネの副作用にはどのようなものがあるか
9 癌末期の疼痛を取る方法には麻薬投与以外にどのようなものがあるか
10 大内臓神経切離術とはどのような手術か
11 麻薬についての誤解を解くのにどのような説明をしてきたか
12 「患者は尊厳と目的をもって生涯を終えることのできる治療を必要とする」

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