改訂第2版 DMAT標準テキスト

改訂第2版 DMAT標準テキスト

  • 定価 5,720円(税込)
  • 監修:日本集団災害医学会
  • 編集:日本集団災害医学会 DMAT改訂版編集委員会
  • 編集協力:日本救急医学会
  • 編集協力:日本救急看護学会
  • 2版・A4・368ページ・並製
  • 発行年月:2015年03月
  • ISBN 978-4-89269-859-0
  • ※記載されている所属・肩書は、出版当時のものです。

日本集団災害医学会監修の『DMAT標準テキスト』第1版第1刷は2011年の2月に刊行されました。しかし、同年3月11日には東日本大震災が起こり、直ちに東日本大震災におけるDMAT活動、DMAT活動要領改正、用語の修正等のコラムを追加して「増補版」を刊行しました。

しかし、東日本大震災は地震、津波に加え、福島第一原子力発電所事故など、未曾有の複合災害の様相を呈しました。そのため、被災地でのDMAT活動は多岐にわたり、その後の改正点などを整理するために今回の『DMAT標準テキスト改訂第2版』を刊行することとなりました。

本書では東日本大震災の教訓を「新たな防ぎえた災害死」という観点から整理し、DMAT活動の戦略を局地災害と広域災害の局面から捉えなおし、また、熱傷、被ばく医療、津波肺、公衆衛生的活動(感染症サーベイランス・ラピッドアセスメント・保健所と保健師の役割)、固定翼機による医療搬送(透析療法患者の広域医療搬送)など、DMATが知っておくべき災害時の知識の充実にも努めました。本書の目的はDMAT隊員のみならず、災害に携わるさまざまな職種の方々に災害医療の基本知識、手技やDMATとの連携を理解していただき、共通の言語で災害医療に取り組んでいただくことにあります。

Ⅰ 災害概論

1 災害の定義・分類,災害サイクル

1 災害の定義
2 災害の種類
3 災害サイクル
Column
・complex humanitarian emergency(CHE,人道的緊急事態)

2 阪神・淡路大震災の教訓―防ぎえた災害死

1 防ぎえた災害死とは
2 阪神・淡路大震災時の防ぎえた外傷死発生の背景
3 防ぎえた災害死の数
4 広域医療搬送の必要性と想定患者数
5 阪神・淡路大震災後のわが国の災害医療体制

3 東日本大震災の教訓─新たな防ぎえた災害死

1 災害の概要
2 人的被害
3 東日本大震災で判明した諸課題と今後の災害医療体制整備について
4 新たな防ぎえた災害死

Ⅱ DMATとは

1 DMATとは

1 「防ぎえた災害死」
2 DMATが活動する災害とその意義
3 DMATの定義
4 DMATの活動
5 DMATの特徴
6 日本のDMATと米国のDMATの違い

Ⅲ 急性期災害医療対応の原則

1 災害医療対応の基本コンセプト

1 基本コンセプトの重要性
2 基本コンセプト「CSCATTT」
3 準備の重要性

2 指揮・統制

1 指揮と統制
2 各組織の災害時の主たる役割

3 安 全

1 安全管理の重要性
2 移動の安全
3 災害現場での安全確保
4 医療機関における安全確保

4 情報伝達

1 情報伝達の重要性
2 災害時における情報伝達の失敗要因
3 必要な情報をどのように収集・管理し伝達するか
4 情報伝達で考慮すべきこと
5 災害時に収集し伝達すべき情報の一例;METHANE情報
6 災害時の情報通信の制限と災害優先電話
Column
・インフォメーションとインテリジェンス

5 評 価

1 評価とは
2 評価における具体例

6 トリアージ

1 トリアージとは
2 トリアージによる優先順位の区分(カテゴリー)
3 トリアージの方法

7 治 療

1 治療とは
2 安定化治療(処置)の重要性
3 平時と災害時の外傷初期診療の相違について
4 災害時の外傷症例の評価手順について
5 搬送のためのパッケージング(固定)

8 搬 送

1 搬送とは
2 搬送の際に考慮すべき内容
3 搬送の実際
Column
・1998年 ドイツICE高速列車脱線転覆事故

Ⅳ 局地災害と広域災害医療対応の戦略

1 局地災害医療対応の戦略

1 局地災害と活動の目的
2 通常の救急対応と災害対応の違い
3 災害に対する体系的な対応
4 医療情報の集約

2 広域災害医療対応の戦略

〔1〕DMATの指揮・統制
〔2〕DMAT活動の概要
〔3〕DMATの具体的な活動
1 情報収集とEMISでの共有
2 病院支援・病院の拠点化
3 医療搬送(地域・広域)
4 航空搬送拠点臨時医療施設(SCU)における医療活動
5 病院避難
6 保健・公衆衛生学的活動(避難所支援等)
7 調整(コーディネート)業務
Column
・救護所って何?
・災害時の病院避難について

Ⅴ DMATが実施する診療

1 DMATが実施する診療とは

1 DMATが実施する医療は「救命医療」である
2 災害時は現場から治療を開始しなければ,救命できない
3 安定化治療(処置)と根本治療

2 DMATが実施するトリアージ

1 トリアージの原則
2 トリアージ区分
3 トリアージは繰り返して行う
4 一次トリアージ〈START法〉
5 二次トリアージ:生理学的・解剖学的評価法〈PAT法〉
6 トリアージタグの記載のポイント
7 トリアージと緊急処置
Column
トリアージ

3 DMATが実施するprimary surveyと安定化治療(処置)

1 災害時の外傷初期診療について
2 災害時のprimary surveyと安定化治療(処置)の実際

Ⅵ DMAT活動のロジスティクス

1 災害医療とロジスティクス

1 災害医療活動におけるロジスティクスとは
2 ロジスティクス担当者は業務調整員である
3 災害医療活動におけるロジスティクスの管理項目
4 ロジスティクス拠点およびDMATロジスティックチーム
5 後方支援

Ⅶ 広域災害救急医療情報システム(EMIS)

1 広域災害救急医療情報システム(EMIS)

1 EMISの整備
2 システムの目的
3 システムの機能
4 EMISを有効に機能させるために

Ⅷ DMATが知っておくべき災害時の知識

1 圧挫(クラッシュ)症候群

1 歴 史
2 病 態
3 診 断
4 重症度判断
5 治 療

2 熱 傷

1 受傷後24時間までの病態
2 現場における応急処置
3 Primary survey(一次評価)
4 Secondary survey(二次評価)
5 初期輸液療法
6 トリアージと患者搬送

3 航空医学

1 航空医学の特性
2 飛行高度と与圧機能
3 機内環境が医療活動に与える影響

4 固定翼機による医療搬送

1 災害時における固定翼機
2 北海道における固定翼機の運航
3 東日本大震災における固定翼機を用いた患者搬送

5 マスコミ対応と個人情報保護

1 災害とメディア
2 メディアにどう対応するか
3 個人情報保護について
4 メディアとの良好な関係構築に向けて

6 災害と精神医療

〔1〕災害に起因する精神症状
1 対応の原則
2 災害後のストレス要因
3 注意すべき急性期の状態像
4 医療の対象とすべき精神症状
5 不安に対する投薬上の注意

〔2〕救援者の精神健康
1 救援者のストレス要因

〔3〕こころの健康についての調査
1 自己記入式質問紙
2 調査倫理
Column
・心理的応急処置(PFA)とは
・ 災害派遣精神医療チーム(DPAT)とは

7 肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)

1 肺塞栓症とは
2 災害後の肺塞栓症
3 災害時の肺塞栓症の予防法

8 被ばく医療

1 被ばく医療の基本的知識
2 被ばく医療の実際
3 緊急被ばく医療から原子力災害医療へ
9 公衆衛生

〔1〕感染症サーベイランス/感染防御
1 すべての災害に共通すること―災害後感染症対策におけるDMATの役割
2 DMATに知ってほしい「問題探知サーベイランス」(EBS)の考え方
3 「問題探知サーベイランス」以外の問題探知の考え方(症候群サーベイランスを中心に)
4 避難所における感染防御対策全般

〔2〕ラピッドアセスメント(迅速評価)
1 ラピッドアセスメントとは
2 ラピッドアセスメントの実際
3 ラピッドアセスメントの情報管理

〔3〕災害時における保健所と保健師の役割
1 保健所の変遷と現状
2 地域における災害拠点としての保健所
3 保健師と災害時の活動
4 災害拠点としての保健所の今後
Column
・災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)

10 寒冷地災害

1 寒冷地災害とは
2 偶発性低体温症
3 その他の寒冷地災害
4 CSCAの特殊性
5 TTTの特殊性
6 隊員管理

11 津波肺

1 定 義
2 原因・病態
3 検査・診断
4 治 療
5 東日本大震災における宮城県石巻医療圏の津波肺症例

12 破傷風

1 疫 学
2 自然災害における破傷風
3 病原体,発症機序
4 臨床的特徴,症状
5 診 断
6 治 療
7 予 防
8 東日本大震災に関連した破傷風

Ⅸ DMATに関連する特殊な環境や活動

1 USARとCSM

1 USARとは
2 USARにおける医療活動の原則
3 Confined spaceと活動の特異性
4 安全確保
5 USARで必要な医療活動
6 CSM活動のポイント
7 看護師の役割

2 洋上災害

1 わが国と洋上災害
2 海上事故の分類
3 洋上救急体制
4 DMATの活動が期待される対象災害
5 洋上災害の事例
6 東日本大震災における海上保安庁の活動概要

3 CBRNEテロ

1 CBRNEテロに対する医療対策の現状
2 NBCテロ対応院内体制・診療手順の確立
3 CBRNEテロ現場出動医療チーム(CBRNE-DMAT)について

4 クライムシーンでの対応

1 クライムシーンとDMAT
2 クライムシーンの特殊性

5 爆 傷

1 損傷形態
2 主な病態と治療法
3 爆発災害への対応
Column
・ボストンマラソン爆弾テロへの対応
・爆弾テロでのsurge
・ロンドン同時多発テロにおける災害現場での医師派遣
・ イスラエルの現場トリアージ
・ テロ外傷症例の特徴

6 マスギャザリング・イベント対応

1 マスギャザリングとは
2 マスギャザリング・イベント対応の必要性
3 推奨されるマスギャザリングの医療支援体制

7 空港災害

1 空港災害に対する緊急活動計画の現状
2 空港災害とDMATのかかわり

8 DMORT

1 DMORTとは
2 DMORTの必要性
3 研究活動の開始
4 米国DMORT
5 日本型DMORTの模索
6 DMORTの役割
7 DMORTの活動展開
8 東日本大震災とDMORT
9 DMORTの課題
10 DMORTの今後

Ⅹ わが国の災害対応体制

1 わが国の災害対応の枠組み

〔1〕災害対策に関する法体系
1 災害対策基本法
2 災害救助法

〔2〕東日本大震災後の法制度の見直し
1 災害対策基本法の見直しの経緯
2 災害対策基本法の改正の概要
3 その他の災害対策法令の改正

2 内閣府の対応

1 災害発生時の対応およびそれへの備え
2 大規模地震発生時の対応計画等
3 地震発生時の対応例

3 DMATの位置づけ

1 厚生労働省防災業務計画
2 日本DMAT活動要領
3 DMATの法的位置づけについて

4 災害拠点病院,広域災害救急医療情報システム,救急医療用ヘリコプター(ドクターヘリ)

1 災害拠点病院
2 広域災害救急医療情報システム(EMIS)について
3 救急医療用ヘリコプター(ドクターヘリ)について

5 総務省消防庁の対応

1 広域消防応援における国,都道府県および市町村の関係
2 緊急消防援助隊
3 消防の指揮の基本概念
4 消防と医療の連携

6 警察の対応

1 警察の任務および災害警備活動の法的根拠
2 警察の体制
3 災害警備活動にかかる平素の措置
4 災害発生時の措置
5 関係機関との連携

7 海上保安庁の対応

1 海上保安庁の任務・体制
2 海難救助
3 災害対策

8 自衛隊の対応

1 災害派遣の種類
2 災害派遣などの初動態勢
3 災害対処への平素からの取り組みなど
4 特殊災害への取り組み
5 原子力災害などへの対処
6 災害派遣の実施状況
7 DMATとの連携

9 自治体の対応

1 災害医療体制の整備
2 災害時の対応
3 自治体間の広域連携のあり方
4 今後の課題

10 各組織の対応

〔1〕日本医師会
1 医師会の組織構造および活動
2 事前の準備(Disaster Preparedness)
3 JMAT活動

〔2〕日本赤十字社
1 日本赤十字社における災害救護活動の位置づけ
2 日本赤十字社の災害救護体制
3 日本赤十字社の災害救護資機材
4 日本赤十字社救護班とDMATとの協働

〔3〕日本歯科医師会
1 災害時の基本的考え方
2 歯科医師会の対応
3 災害時の歯科医療
4 身元確認

〔4〕日本薬剤師会
1 日本薬剤師会の災害支援活動
2 東日本大震災における薬剤師の支援活動
3 お薬手帳の活用
4 災害時処方せん
5 医薬品および衛生材料の活用
6 災害支援車両(モバイルファーマシー)
7 日本薬剤師会の今後の対応

〔5〕日本看護協会
1 災害支援ナースによる災害時の看護支援活動
2 日本看護協会における災害看護支援活動のための平時からの取り組み

〔6〕国立病院機構
1 国立病院機構における災害医療の位置づけ
2 東日本大震災における国立病院機構の医療支援活動

〔7〕国立大学病院
1 文部科学省が国立大学病院へ求める災害時医療対応
2 国立大学病院における災害拠点病院およびDMAT指定医療機関整備
3 災害時医療対応における国立大学病院の役割と課題
4 東日本大震災での対応
5 国立大学病院の災害対応に関する新規事業

Appendix 広域医療搬送計画と東日本大震災におけるDMAT活動事例

1 広域医療搬送計画の概要

1 広域医療搬送計画に関する検討
2 広域医療搬送計画の作成状況
3 広域医療搬送の概要
4 東海地震が発生した場合の広域医療搬送計画
5 今後の課題

2 東日本大震災(2011年)

1 災害の概要
2 活動概要
3 東日本大震災後の課題と対応策
4 DMATに関する課題と対応

3 東日本大震災における透析療法患者の広域医療搬送

1 日本透析医会の災害時の対応
2 地震発生後の対応
3 北海道への搬送体制
4 被災透析患者の入院透析受け入れ
5 被災透析患者の搬送
6 被災外来透析患者受け入れ体制
7 来道被災透析患者の健康管理とストレス
8 大規模患者移送が成功した理由
9 大規模災害に備えた今後の問題点

■巻末資料
①医療搬送カルテ
②DMAT標準資機材リスト
③SCU受付用紙

関連書籍

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  • 救急医学 2021年3月号
  • 発生状況からみた 急性中毒初期対応のポイント 農薬・工業用品(TICs)編/化学剤編
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