看護のプロセスがみえる感染対策

看護のプロセスがみえる感染対策

COVID-19から学んだ済生会横浜市東部病院の取り組み

  • 定価 1,980円(税込)
  • 監修:渡邊輝子
  • B5・108ページ・並製
  • 発行年月:2022年12月
  • ISBN 978-4-86719-057-9
  • ※記載されている所属・肩書は、出版当時のものです。

日々の感染症対策にはもちろん
新たなパンデミックへの備えにも!

 

COVID-19の感染対策を行うにあたり、一つずつルールを積み上げていくことで統一したマニュアルが形となる。済生会横浜市東部病院では、どのように構築してきたのか。そのプロセスを具体的に提示。
日々の感染症対策にはもちろん,新たなパンデミックへの備えにも役立つ!

【本書の概要】
「リネンはすべて使い捨て?」「面会させたいけれど…」「夜間巡回でもPPE?」など、コロナ禍における日常ケアのなかで起こったジレンマ、葛藤、迷いをどのように解決してきたのか。
患者の重症度に関係なく、感染患者をみている病院・施設をはじめ、訪問看護にも参考となるケアの工夫と実際を紹介。

【本書のポイント】
・日常ケアにおけるジレンマ・葛藤・迷いに対して、改善までのプロセスを具体的に提示。
・プロセスとして「病棟看護師による話し合い」「解決に向けての過程」を取り上げ、「感染管理対策室からのコメント」を加えることで、より納得のいくケアにつながる。
・日常のケアとして清潔ケア、検温、医療廃棄物や排泄部やリネンなどの取り扱いをはじめ、入退院や面会、隔離解除や急変時対応などに言及。
・看護師以外の他職種の活動をエピソードやコラムで紹介。

1章 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染対策と看護

2章 フルPPEの着脱

3章 日々の業務

①清潔ケア

ジレンマ1
入院中に病室内で陰部洗浄や洗髪をする際,病室のお湯がぬるく,使用時には冷たいことが多く,患者に我慢を強いている。

ジレンマ2
タオルや寝衣を取り扱っている業者が回収処理に応じることができないため,院内で対応しなければならない。

②検温

ジレンマ3
バイタルサインの測定物品(体温計,血圧計,SpO2モニター,聴診器)は患者ごとに使い分けると不足してしまう。

③薬剤の取り扱い

ジレンマ4
患者の持参薬は消毒しないと使用できないのか。

ジレンマ5
患者に投与後の点滴容器,点滴ルート,注射針,使用後のアルコール綿,テープなどをどのように処理すればよいか。

④医療廃棄物の取り扱い

ジレンマ6
点滴,おむつのごみ,PPEなど感染性廃棄物が想像以上に出ている状況で,看護師が勤務終了後に病床から搬出しているが,患者数の増加により過重労働になっている。

⑤排泄物の取り扱い

ジレンマ7
尿道留置カテーテル挿入中の患者の尿などの排泄物の廃棄方法がわからない。

⑥リネンの取り扱い

ジレンマ8
着替えや寝具(寝衣,シーツなど)はすべて使い捨てでよいのか。資源,コストの問題はないのか。

ジレンマ9
患者に使用するリネンはすべて使い捨てということで,供給される布団は日常的に使用しているものの1/2程度の薄さであった。枚数にも限りがあり,患者に寒い思いをさせてしまっている。

⑦COVID-19専用ワゴンの取り扱い

ジレンマ10
バイタルサイン測定や点滴の際など,日々の業務に使用する物品は陽性患者と疑陽性患者で分ける必要があるのか。

⑧検体の取り扱い

ジレンマ11
汚染されている検体容器をどのような手順で検査科へ運べばよいのか。

⑨口腔ケアグッズの取り扱い

ジレンマ12
病室の外にある洗面台に口腔ケアグッズを持ち出す場合,どのような方法で病室から持ち出せばよいのか。

⑩その他物品の出し入れ

ジレンマ13
アイスパック(アイスノン®),陰洗ボトル,SpO2モニター,ベッドサイドモニターなどは病床数と同じ数はないため,共有するにはどのような方法をとる必要があるのか。

⑪ソフトナース®(体圧分散ウレタンフォーム)

ジレンマ14
体圧分散には腹臥位療法が有効とされているが,長時間による褥瘡予防が必要となる。

⑫ラップポン(自動ラップ式簡易トイレ)

ジレンマ15
トイレがない大部屋にはポータブルトイレはあるが,においなどが気になるため,環境をよくしたい。

ジレンマ16
患者数の増加により個室を確保できなくなってきた。ADLの自立している若い患者のケア,特に排泄について患者のプライバシー(羞恥心)を配慮する必要があるが,トイレのない大部屋でも対応が可能か。

⑬COVID-19陽性と疑いの違い(物品管理)

ジレンマ17
看護備品が患者をとおして交差感染しないためにはどうしたらよいか。

⑭出棟時の対応

ジレンマ18
透析やCT検査などのために出棟するCOVID-19陽性患者が多い。出棟時の動線や患者の対策はどうしたらよいか。

⑮夜間の巡回

ジレンマ19
巡回の際,毎回フルPPEが必要なのか。患者に接触しなくてもPPEの装着が必要なのか。

⑯配膳・下膳

ジレンマ20
患者が使用した食器を片付ける方法はどうしたらよいか。

⑰室内の清掃

ジレンマ21
看護業務に加えて,病室内の清掃までは手が回らない。

4章  患者の必要物品

⑱QUOカードの取り扱い

ジレンマ22
お金(貨幣)にはウイルスが72時間は存在するため,患者から買い物を依頼されお金を預かっても使用できない。そのため買い物のたびにPPE装着で患者のもとへ現金を取りにいくことは,非常に手間である。緊急入院により買い物の依頼が多い。

⑲TVカードの取り扱い

ジレンマ23
お金(貨幣)にはウイルスが72時間は存在するので,TVカードを購入するために患者からお金を預かっても使用できない。

5章  入退院と面会

⑳入院の流れ

ジレンマ24
入院患者が救急外来から病室まで来るルートとタイミングを合わせないと,入院対応をする看護師の準備が間に合わない。入院中の注意点を説明する資料がなく,統一した対応ができない。

㉑入院による部屋の準備

ジレンマ25
入院患者の対応をスムーズに行うためには,病室内の物品の準備をどうしたらよいか。

㉒自宅退院,転院

ジレンマ26
病院を出る際(自宅退院,転院の際),交通手段を含め,感染対策はどうしたらよいのか(特に感染対策中の場合など)。

㉓死亡退院

ジレンマ27
死亡時は納体袋に入れての退院となり,死亡確認後は病棟で家族は患者と最後のお別れとなるため,それまでに何かできることはないだろうか。家族の面会はできないか。遺体の対応はどうしたらよいのか。

㉔面会

ジレンマ28
家族が濃厚接触者になるケースが多いが,濃厚接触者であることの理解ができておらず,面会を求めてくる。

ジレンマ29
患者が入院後急変しICUに入室したが,死亡退院となった。患者の意識がある状態で家族を会わせることができなかった。

6章  そのほかに必要な対応

㉕隔離解除

ジレンマ30
患者増加のため陰圧個室が不足した。次の患者を受け入れるため個室を空けたい。主治医の不在時に,隔離解除の判断に困る。

㉖急変時の対応

ジレンマ31
重症化した際にどの程度まで一般病棟で対応したらよいのか。


エピソード

①2020年,ダイヤモンド・プリンセス号からの入院患者1
② 外国人患者
③ 病棟にて高流量鼻カニュラ(HFNC)酸素療法を受けている患者
④ 第5波では医師も混合チーム

コラム

▪病院給食の対応
▪COVID-19(中等症)の看護の可視化シート
▪COVID-19陽性患者のパス化に至る経緯
▪スタッフへの心理的サポート
▪病棟をゾーニングしている場合における災害発生時の避難計画(水平移動)
▪COVID-19 第5波を振り返って

おわりに

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