改訂第6版 外傷初期診療ガイドラインJATEC

改訂第6版 外傷初期診療ガイドラインJATEC

  • 定価 16,500円(税込)
  • 監修:一般社団法人 日本外傷学会
  • 監修:一般社団法人 日本救急医学会
  • 編集:日本外傷学会外傷初期診療ガイドライン改訂第6版編集委員会
  • 6版・A4判・354ページ・並製
  • 発行年月:2021年02月
  • ISBN 978-4-86719-014-2
  • ※記載されている所属・肩書は、出版当時のものです。

外傷診療に携わるすべての医師必携の一冊

Preventable trauma death回避のため,外傷患者の初期診療手順を標準化した『外傷初期診療ガイドラインJATEC』。新しいエビデンスや知見に基づく内容の刷新はもちろんのこと,JATECコースの事前学習や内容の理解をより深めていただくため,解説動画が見られるQRコードを新たに採用しました。

【改訂第6版の特徴】
・解説動画が見られるQRコードを79点掲載。
・JATECコースで実際に使用されているマニュアル(ハンドアウト)を整理し,本書に「診療」・「技能」として収載。
・外傷専門医との連携を想定し,初期診療で不可欠な知識を整理。
・新たに「超音波検査の活用」の章を追加。
・イラスト・写真をよりわかりやすくリニューアル。

※JATECコース受講登録には本書巻末のシリアルナンバーが必要となります。
※シリアルナンバーを利用してのJATECコースへのお申し込み、e-learningへのアクセス等についての不具合・ご不明な点は、JATECコースを運営する JTCR((特非)日本外傷診療研究機構)事務局 外部リンク までご確認下さい。

第1章 初期診療総論

初期診療理論
(外傷急性期の病態/急性期病態と死因/初期診療の原則/生命維持と蘇生/初期診療手順の構成/【用語について】/外傷診療におけるチームワーク)
初期診療の実際
(患者受け入れの準備/Primary surveyと蘇生/転院の判断または医師の応援要請/Secondary survey/根本治療/根本治療のための転院の判断または医師の応援要請/Tertiary survey)
診療1-1 初期診療 Primary surveyと蘇生
診療1-2 初期診療 Secondary survey

第2章 外傷と気道・呼吸

はじめに
Ⅰ 呼吸生理学と外傷に伴う病態
Ⅱ 気道・呼吸の観察
Ⅲ 酸素投与
Ⅳ 気道確保の種類
Ⅴ 簡便な気道確保
(用手的気道確保/エアウエイ/口腔内吸引・異物除去)
Ⅵ 確実な気道確保
(適応/確実な気道確保のアルゴリズム/確実な気道確保におけるピットフォール/気管挿管/外科的気道確保)
Ⅶ 声門上器具による気道確保
(ラリンゲアルマスクエアウエイ(laryngeal mask airway;LMA)/アイジェル/ラリンゲアルチューブ(laryngeal tube airway;LTA)/コンビチューブ)
Ⅷ 換気法
(バッグ・バルブ・マスク換気法/気管挿管・輪状甲状靱帯切開後の換気法)
おわりに
技能2-1 外科的気道確保
(気道・呼吸の観察の要点/確実な気道確保のアルゴリズム/挿管困難予測 LEMON/緊急外科的気道確保法/外科的気道確保に必要な解剖/輪状甲状靱帯切開の手技/輪状甲状靱帯穿刺の手技/気道確保法後の確認事項)

第3章 外傷と循環

はじめに
Ⅰ ショックの定義と病態
(出血性ショック/非出血性ショック)
Ⅱ ショックの認知
(早期認知のための観察項目/出血性ショックの重症度/ショックの臨床症状を修飾する因子)
Ⅲ ショックの評価と対応
(外出血の止血/輸液療法/輸血療法/補助的な止血療法/ショックの原因検索と処置/循環の安定化におけるその他の処置/循環管理の指標)
参考①:生理学と出血
参考②:蘇生を目的とする手術
(ダメージコントロール戦略/大動脈遮断法/蘇生的開胸術(RT))
技能3-1 ショックの認知と対応
(ショックの認知 “SHOCK”…血圧に頼らない!/ショックへの対応“FIX-C”)
技能3-2 FAST
(FAST (Focused Assessment with Sonography for Trauma)/超音波装置による気胸の検索)
技能3-3 IOI(骨髄内輸液)
(適応と禁忌/穿刺部位の選択における注意点/準備/手技/合併症,その他)

第4章 外傷と意識障害

はじめに
Ⅰ 外傷による意識障害の原因
Ⅱ 意識障害患者の評価
(GCSによる判定/瞳孔所見/片麻痺/Cushing現象/「切迫するD」の判断/「切迫するD」への対応/GCSの限界)
Ⅲ 鑑別診断の進め方と対応
まとめ
技能4-1 意識レベル評価の実際
(GCSの評価手順/圧迫刺激部位/判定時のポイント/切迫するDを判断したら)

第5章 胸部外傷

はじめに
Ⅰ 疫学
Ⅱ 解剖
Ⅲ 病態
Ⅳ 初期診療
(Primary surveyと蘇生/Secondary survey/根本治療を必要とする胸部外傷)
技能5-1 胸部外傷のX線診断
(気管・気管支/胸腔と肺実質/縦隔/横隔膜/骨性胸郭/軟部組織/チューブと輸液ライン/X線写真の再評価/読影の練習)
技能5-2 緊張性気胸に対する胸腔穿刺・胸腔ドレナージ
(胸腔穿刺/胸腔ドレナージ)
技能5-3 心嚢穿刺
(目的/適応/禁忌/必要物品/方法/合併症/手術適応)

第6章 腹部外傷

はじめに
Ⅰ 疫学
Ⅱ 解剖
(体表と腹壁/腹腔と後腹膜)
Ⅲ 病態
Ⅳ 初期診療
(Primary surveyと蘇生/Secondary survey)
Ⅴ 治療方針
(開腹術の適応/Damage control surgery(DCS)/非手術療法(NOM))

第7章 骨盤外傷

はじめに
Ⅰ 疫学
Ⅱ 解剖
(骨盤の機能解剖とバイオメカニクス/骨盤周囲の血管・神経/骨盤内臓器)
Ⅲ 分類
(安定型骨盤骨折/不安定型骨盤骨折/寛骨臼骨折)
Ⅳ 病態
Ⅴ 初期診療
(Primary surveyと蘇生/Secondary survey/根本治療)
Ⅳ 骨盤開放骨折
まとめ
技能7-1 骨盤外傷への対応
(不安定型骨盤骨折の骨折型と出血量の関係/骨盤X線読影の手順/骨盤X線読影のポイント/骨盤骨折X線写真の例/骨盤骨折に対する止血アルゴリズム/【参考】病院前での簡易骨盤固定具装着適応/簡易骨盤固定具の解除基準)

第8章 頭部外傷

はじめに
Ⅰ 疫学
Ⅱ 解剖
(【参考1】脳ヘルニア/【参考2】頭蓋内圧(ICP)と脳灌流圧(CPP)/【参考3】各部の脳機能/【参考4】髄液に関する知識)
Ⅲ 病態
(一次性脳損傷と二次性脳損傷/Coup injuryとcontre-coup injury/Talk & deteriorate)
Ⅳ 分類
(頭蓋骨骨折/局所性脳損傷/びまん性脳損傷/外傷性頭蓋内血管損傷/穿通性脳損傷/外傷性てんかん)
Ⅴ 初期診療
(Primary surveyと蘇生/Secondary survey)
Ⅵ 重症度別対応
(重症頭部外傷/軽症・中等症頭部外傷/【参考5】スポーツ脳振盪への対応/【参考6】子ども虐待と頭部外傷/【参考7】頭部外傷における転院/【コラム:JATECにおける中等症・軽症頭部外傷の定義の考え方】)
技能8-1 頭部CT読影の基本
(重症度に応じたCTの適応/系統的読影/Densityの変化/典型的所見/重要所見/見落としやすい所見/参考)

第9章 顔面外傷

はじめに
Ⅰ 解剖
Ⅱ 病態
Ⅲ Primary surveyと蘇生
Ⅳ Secondary survey
(骨折/皮膚・軟部組織損傷)
参考:眼外傷
(眼外傷における用語/眼科的診察/処置と治療)

第10章 頸部外傷

Ⅰ 解剖
Ⅱ 病態
Ⅲ Primary surveyと蘇生
Ⅳ Secondary survey
Ⅴ 創傷処置と治療方針
Ⅵ 主な損傷の特徴
(喉頭・気管損傷/頸動脈損傷/頸静脈損傷/食道損傷/腕神経叢損傷)

第11章 脊椎・脊髄外傷

はじめに
Ⅰ 疫学
Ⅱ 解剖
(脊椎/脊髄)
Ⅲ 病態
(脊椎損傷/脊髄損傷)
Ⅳ 脊髄損傷の機能評価
(神経学的高位の診断/麻痺の重症度)
Ⅴ 初期診療
(Primary surveyと蘇生/【神経原性ショック(neurogenic shock)と脊髄ショック(spinal shock)】/【D:中枢神経評価】/Secondary survey)
Ⅵ 治療指針(整形外科的治療)
Ⅶ 脊椎の保護
(頸椎装具/バックボード)
Ⅷ 頸椎固定解除基準
技能11-1 頸椎画像診断
(読影の注意点/読影の手順)

第12章 四肢外傷

はじめに
Ⅰ 解剖
Ⅱ 病態
Ⅲ 初期診療
(Primary surveyと蘇生/Secondary surveyにおける診断/注意すべき四肢外傷/Tertiary survey)
Ⅳ 処置の手技
(整復/副子による外固定/四肢ターニケットの解除基準/【参考】病院前のターニケット装着)
Ⅴ 注意すべき合併症
(脂肪塞栓症候群/筋区画症候群(コンパートメント症候群)/圧挫症候群(crush syndrome))
Ⅵ 多発外傷に合併した長管骨骨折の治療戦略
まとめ

第13章 熱傷・電撃傷

はじめに
Ⅰ 病院前救護と受け入れ準備
Ⅱ Primary surveyと蘇生
(A:気道の評価/B:呼吸の評価/C:循環の評価/D:中枢神経障害の評価/E:脱衣と体温管理)
Ⅲ Secondary survey
(病歴などの聴取/重症度評価)
Ⅳ 熱傷初期輸液
Ⅴ 電撃傷(electrical injury)
Ⅵ 病院間搬送

第14章 小児外傷

はじめに
Ⅰ 疫学
Ⅱ 解剖学的特徴と生理学的特徴
(解剖学的特徴/生理学的特徴)
Ⅲ Primary surveyと蘇生
(第一印象の把握/A:気道評価・確保と頚椎保護/B:呼吸評価と致死的な胸部外傷の処置/C:循環評価および蘇生と止血/D:生命を脅かす中枢神経障害の評価/E:脱衣と体温管理)
Ⅳ Secondary survey
(検査時の鎮静/部位別にみた特殊性)
Ⅴ 子ども虐待
(初期診療における虐待への疑い/乳幼児の虐待による頭部外傷の特徴/法的な対応)

第15章 高齢者外傷

はじめに
Ⅰ 疫学
Ⅱ 高齢者外傷の特殊性
(身体の加齢による影響/併存疾患の影響/服薬の影響)
Ⅲ 初期診療
(Primary survey/Secondary survey/Tertiary survey)
Ⅳ 高齢者に特徴的な損傷
(頭部外傷/肋骨骨折/骨盤骨折)
Ⅴ 高齢者虐待
Ⅵ 治療目標

第16章 妊婦外傷

はじめに
Ⅰ 解剖と生理
(妊娠期間の区分/解剖/生理)
Ⅱ 初期診療
(Primary surveyと蘇生/【参考】死戦期帝王切開/Secondary Survey/胎児に関する留意点/根本治療)
Ⅲ 母体受傷機転と胎児の予後
(腹部鈍的外傷/腹部穿通性外傷/熱傷・電撃傷/転倒・転落)
Ⅳ 外傷診療における妊娠に特有な病態
(胎盤早期剥離(早剥)/子宮破裂/母児間輸血症候群)
Ⅴ 放射線
Ⅵ 薬剤
(妊娠初期/妊娠中期以降)
まとめ

第17章 画像診断

Ⅰ X線検査
(Primary surveyにおける評価/Secondary surveyにおける評価)
Ⅱ CT検査
(CTの適応/CT撮影における注意点/CT撮影の実際/画像の描出:階調と再構成/外傷CTの読影)
Ⅲ MRI検査
技能17-1 外傷CTの読影

第18章 超音波検査の活用

はじめに
Ⅰ 気道
気管挿管の確認/輪状甲状靱帯の同定)
Ⅱ 呼吸
気胸の評価/肺挫傷の評価)
Ⅲ 循環
(血胸の評価/腹腔内出血の評価/心嚢液の評価,超音波ガイド下心嚢穿刺/簡易心臓超音波検査による循環動態の評価/超音波ガイド下静脈路確保)
Ⅳ 骨折
まとめ

第19章 受傷機転

はじめに
Ⅰ 緊急度・重症度評価の指標
Ⅱ 損傷の発生メカニズム
(外力の作用部位に生じる損傷/外力の作用部位以外に生じる損傷)
Ⅲ 外傷の分類
Ⅳ 受傷機転からみた損傷の特徴
(交通事故/墜落/刺創/銃創/杙創/爆傷/挟圧外傷)
Ⅴ 受傷要因となる内因性疾患

第20章 病院前救護

はじめに
Ⅰ 医療機関の選定とメディカルコントロール
Ⅱ 病院前救護の担い手
(自治体消防/海上保安庁,都道府県警察,自衛隊/医療機関スタッフ(ドクターカー・ドクターヘリ))
Ⅲ JPTECに基づく外傷病院前救護活動
(JPTECで強調されている概念/現場活動の手順/緊急度・重症度の評価と医療機関選定(オーバートリアージの容認)/医療機関への連絡)

第21章 複数患者への対応

はじめに
Ⅰ 複数患者の受け入れ準備
(System/Switch(組織・体制)/Staff(人員)/Structure/Space(場所)/Stuff/Supply(資器材)/Security(保安・安全))
Ⅱ トリアージ
Ⅲ 診療の進め方
Ⅳ 地域としての対応

第22章 病院間搬送

はじめに
Ⅰ 診療能力の把握
(自施設の診療能力の把握/他施設の診療能力の把握)
Ⅱ 病院間の連携
Ⅲ 搬送にかかわる医師の責務
(紹介医師/受け入れ医師)
Ⅳ 転院の判断
(Primary surveyと蘇生の段階/Secondary survey後の段階/入院後の経過中)
Ⅴ 搬送手段の選択
(陸路搬送/空路搬送)
Ⅵ 病院間搬送の実際
(転院の説明とインフォームドコンセント/転院依頼と情報提供/搬送要員への情報提供/記録とチェックリスト/搬送開始直前の観察と準備/搬送中の患者管理/偶発的な事故に対する対策)
Ⅶ 今後の課題


Appendix 1 感染症対策

はじめに
Ⅰ 外傷初期診療における抗菌薬の使用法
(予防的抗菌薬投与の原則/頭部外傷に対する予防的抗菌薬投与/胸腔ドレナージを必要とする胸部外傷に対する予防的抗菌薬投与/腹部外傷に対する予防的抗菌薬投与/四肢外傷に対する予防的抗菌薬投与/皮膚・軟部組織損傷に対する予防的抗菌薬投与)
Ⅱ 破傷風予防
(破傷風とは/破傷風予防の要点)
参考:外傷初期診療におけるCOVID‒19対策
【COVID‒19が否定できない場合の初期診療】

Appendix 2 鎮痛・鎮静薬の使用

Ⅰ 処置時の鎮痛・鎮静
(最小限鎮静/中等度鎮静/深鎮静)
Ⅱ 小児・高齢者への鎮痛・鎮静の注意点

Appendix 3 外傷疫学

Ⅰ 死亡者数
Ⅱ 外傷患者数
Ⅲ 救急医療と外傷患者
Ⅳ 重症外傷の実態

Appendix 4 外傷の重症度評価

Ⅰ 重症度評価の意義
Ⅱ 重症度評価の指標
(生理学的指標/解剖学的指標/統合指標)

Appendix 5 外傷症例登録制度と日本外傷データバンク(JTDB)

Appendix 6 JATECコース概要

Ⅰ JATECコースの運営
Ⅱ JATECコース受講の意義
Ⅲ JATECコースインストラクター取得までの流れ

Appendix 7 外傷診療と法的知識

Ⅰ 診療の法的根拠
(緊急事務管理/診療の義務/患者の承諾)
Ⅱ 医師の届出義務
(異状死体の届出/虐待患者の届出/乱用薬物に関する届出/その他の届出)
Ⅲ 守秘義務
Ⅳ 救急における妨害行為
(暴言/暴行/暴行・脅迫による金品要求など)
Ⅴ 証拠の保管と警察への情報や資料の提供
(記録と写真/着衣や所持品など/血液・尿など/病状照会への対応)
Ⅵ 診療にかかわる書類
(診療録/診断書/医療照会に対する回答文書)

Appendix 8 重要な用語・略語

用語
略語と暗記法


・索引
・巻末:JATEC TMコースの受講にあたって

JATECコース

「JATECコース」は、「外傷初期診療ガイドライン」に基づいて標準初期診療手順が実践できるようになることを目標としたトレーニングコースです。

JATECコースの詳細はこちら(外部リンク:(特非)日本外傷診療研究機構ウェブサイト内)

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