臨床倫理入門

臨床倫理入門

  • 定価 3,300円(税込)
  • 監修:日本臨床倫理学会
  • 著:箕岡真子
  • 1版・B5・154ページ・並製
  • 発行年月:2017年07月
  • ISBN 978-4-89269-930-6
  • ※記載されている所属・肩書は、出版当時のものです。

“臨床倫理”初学者に向けた入門書

≪ケース(事例)から学ぶ“臨床倫理”≫

【本書の概要】
“臨床倫理”とは,臨床現場において患者の人格を尊重し,その尊厳に配慮することを目的とする学問です。日常臨床において,医学的に適切な医療を実践するとともに,患者とその家族とのコミュニケーションを通じて,患者の人生観や価値観を尊重し,QOLの向上やweii-beingに寄与することを目指しています。本書では,さまざまなケース(事例)を通じて,実践に基づいた臨床倫理について学ぶことができます。

【特徴/ポイント】
日本臨床倫理学会 監修、本分野における第一人者による入門書です。「臨床倫理」に触れるにあたってまず手に取って頂きたい一冊です。

はじめに
監修にあたって─臨床倫理をなぜ学ばなければならないのか─
「臨床倫理入門」刊行に寄せて─推薦のことば─

第1章 人間の尊厳を考える

▶Case 1 記憶障害がある認知症高齢者のケース

I.尊厳(dignity)
II.SOL・QOL
III.徳倫理
IV.パーソンセンタード・ケア

第2章 倫理4原則について理解する

▶Case 2 タスキギー事件

I.患者の権利侵害の歴史的事件
II.ベルモントレポート
III.倫理4原則
IV.倫理4原則の対立

第3章 患者の自己決定を尊重することの意義について学ぶ

▶Case 3 治療継続を拒んだ肺がん患者

I.事実(fact)と価値(value)
II.インフォームド・コンセント
III.意思決定プロセスにおけるコミュニケーションの重要性

第4章 告知

▶Case 4 認知症患者への告知─あるソーシャルワーカーの悩み─

I.告知に関わる倫理的論点
II.このケースの事実(fact)を明らかにする─4分割表をつくってみましょう─
III.告知と意思決定能力
IV.告知をすることのメリット・デメリット
V.告知の際に留意すること
VI.患者本人・家族や関係者のナラティブの重要性に気づく

第5章 身体拘束と行動コントロールの倫理

▶Case 5-1 施設における身体拘束─家族が身体拘束を要望
▶Case 5-2 薬剤による行動コントロール
▶Case 5-3 病院における手術後の身体拘束

I.行動コントロールの倫理
II.身体拘束による行動コントロール
III.薬物による行動コントロール
IV.病院における行動コントロール

第6章 守秘義務とその解除(通報の義務)・個人情報保護

▶Case 6-1 高齢者虐待─ある訪問看護師の悩み─
▶Case 6-2 夫のHIV感染を妻に告げるべきか─ある医師の悩み─

I.守秘義務
II.個人情報保護
III.高齢者虐待と守秘義務の解除(通報の義務)

第7章 希少な医療資源の公正配分57

▶Case 7-1 誰が透析を受けるべきか─透析機器は1台,候補者は2名
▶Case 7-2 誰が透析を受けるべきか─透析機器は2台,候補者は5名

I.医療資源の公正配分
II.神の委員会
III.その他の医療資源の公正配分に関わる論点

第8章 終末期医療の倫理

▶Case 8 家族が「本人は延命治療を望んでいなかった」と言ったケース

I.医学的アセスメント
II.本人の意思に関すること
III.代理判断に関わる倫理的論点
IV.緩和ケアの重要性
V.アドバンス・ケア・プランニングの重要性

第9章 DNARの倫理

▶Case 9 DNAR指示に関してベッドサイドの各医療者で解釈が異なったケース

I.DNAR指示に関する問題点
II.DNRとDNARは同じ? 違う?
III.DNAR指示の歴史
IV.AMAのDNAR指示に関する指針
V.DNARからPOLSTへ
VI.日本臨床倫理学会の指針

第10章 生殖補助医療の倫理

▶Case 10 子宮全摘手術後,代理出産を希望して渡米した夫婦のケース

I.生殖補助技術(ART)
II.代理出産
III.人工妊娠中絶

第11章 遺伝性疾患における倫理

▶Case 11-1 未発症の遺伝性疾患の診断を受けるべきか
▶Case 11-2 胎児の染色体異常の診断

I.遺伝学的検査・診断
II.遺伝学的検査・診断に伴う倫理的論点
III.母体血を用いた新たな出生前遺伝学的検査

第12章 摂食嚥下障害の倫理

▶Case 12 摂食条件を守らず,誤嚥を繰り返したケース

I.医学的事実の正しい認識
II.Case 12の倫理的論点
III.本人の意思に関わる論点
IV.倫理的価値の対立
V.本人の最善の利益─口から食べることは,本人の最善の利益にかなうのか─
VI.家族の代理判断に関わる論点
VII.医療者はどのような態度をとるべきだったのか

第13章 医療者─患者関係

▶Case 13 医療者–患者関係─ある日の昼休みの看護師さんたちの会話から

I.医療者の法的義務
II.医療者の職業倫理綱領
III.「医療者─患者関係」モデル
IV.信認(信託)関係(fiduciary relationship)

第14章 倫理コンサルテーション─日常臨床における倫理的ジレンマを解決に導くために─

▶Case 14 倫理コンサルテーション─ある日の昼休みの看護師さんたちの会話から

I.倫理コンサルテーションとは
II.日常の医療ケアには多くの倫理的問題が潜んでいる
III.微妙な倫理的価値の対立(=倫理的ジレンマ)に気づく
IV.倫理コンサルテーションの役割
V.誰が倫理コンサルテーションに助言を求めるのか?
VI.アドバイスをする中立的第三者である倫理専門家とは,どのような人か?
VII.倫理委員会との違い
VIII.倫理コンサルテーションの手順
IX.できる限り正しい一次情報を収集する

付録1 POLST(DNAR指示を含む)
付録2 POLST(DNAR指示を含む)作成に関するガイダンス

関連書籍

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  • 高気圧酸素療法再考
  • 高気圧酸素治療のための医学・生理学
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  • 認知症診療の7つの常識を斬る

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