小児のストーマ・排泄管理の実際

小児のストーマ・排泄管理の実際

  • 定価 3,850円(税込)
  • 編集:山崎 洋次(日本小児ストーマ・排泄管理研究会学術委員会委員長)
  • 編集:溝上 祐子(日本小児ストーマ・排泄管理研究会学術委員会副委員長)
  • A4・240ページ・並製
  • 発行年月:2003年02月
  • ISBN 978-4-89269-442-4
  • ※記載されている所属・肩書は、出版当時のものです。

平成 7 年から日本小児ストーマ・排泄管理研究会(当時の名称は日本ストーマ研究会)学術委員会が主催する「日本小児ストーマセミナー」が開講されるようになり,平成14年で7回を数えるようになりました。編集者の一人である山崎洋次が小児外科のトレーニングを受け始めた昭和50年頃,人工肛門のケア(管理)はガーゼドーナツと称してストーマの周囲にガーゼをあてていただけでした。当然のことながらストーマ周囲の皮膚は糜爛し,ストーマ閉鎖術を行う際には次のような指示を先輩の医師から指導を受けたものでした。「皮膚の炎症がひどくかなり出血するから輸血を用意するように,また閉鎖後創感染がほとんどの場合で発生するから皮膚縫合はルーズにして排膿を容易にするか,皮下にドレーンを留置すること……」と,考えてみるとまさに隔世の感があります。

現在,輸血も必要とせず一期的な創傷治癒が得られるのも外科手技や手術材料の進歩ではなく,すべてストーマケアの賜物でありましょう。そんな当時においても成人領域ではそれなりの装具の開発・販売が行われ,ストーマケアに関する教育や啓蒙も始まっていましたが,小児領域においては皆無といってもいい状況でした。その後,昭和56,57年頃より一部の施設で小児に対するストーマケアの重要性が認識されるようになり,格段の進歩がみられるようになりました。
小児ストーマケアの進歩と発展は多くの医療関係者の努力と協力によるところであることはいうまでもありませんが,なんといっても前日本小児ストーマ研究会代表世話人中條俊夫先生の功績が一番ではないでしょうか。当時東京大学小児外科教授であった中條俊夫先生がある種の無関心と冷淡に近い雰囲気の中で,有力な同志の支援を得て日本小児ストーマ研究会を発足させたことがストーマケア発展の契機となりました。そして「日本小児ストーマセミナー」も中條俊夫先生が導かれた延長線上に位置づけられるものと申せましょう。
この「日本小児ストーマセミナー」では開催の都度,講義担当者の手によるテキストが使用されておりましたが,受講者以外からの入手の要望も多く,時には多めに用意したテキストが不足するといった嬉しい悲鳴をあげることもありました。また着実に進歩してきた小児のストーマ・排泄管理を普及,定着させる意味からも本書の出版が急務であると判断いたしました。幸いへるす出版から大変ありがたい理解が得られ,本書が上梓される運びとなりました。付け加えますと,「日本小児ストーマセミナー」もストーマ管理と切っても切れない関係にある創傷や失禁ケアの充実を図るために「日本小児ストーマ・排泄管理セミナー」と改められました。これを受けて本書でも創傷や失禁に関する章を設けてあります。本書がよりよい小児のストーマケア・排泄管理の一助となれば望外の喜びです。
最後にご繁忙の中執筆いただいた諸先生方に改めて感謝申し上げます。

平成15年1月
編集者

1/排泄障害児のケアの基本
排泄障害に対するリハビリテーション/排泄障害に対するチーム医療の展開

2/消化管ストーマを要する疾患
消化管ストーマの目的と造設の理由/疾 患

3/消化管ストーマの造設術と合併症
ストーマの分類/適切な造設位置(ストーマサイトマーキング)の決定/小児の特徴とストーマ造設時の注意点/小児消化管ストーマ造設術の実際/小児ストーマの合併症

4/ストーマ用品の種類と適応
ストーマ用品と分類/ストーマ装具/ストーマ袋の分類/面板の分類/構成部品数による分類

5/消化管ストーマのケア
術前のケア/術後のケア

6/尿路管理を要する疾患
正常な尿路とは何か/異常な尿路とは何か/尿路管理を要する代表的疾患/小児尿路疾患に対する尿路管理

7/尿路変更術と合併症
尿路変更とは/適応と合併症・その予防

8/間歇的自己導尿法
正常下部尿路機能/小児下部尿路機能障害の評価方法/間歇的自己導尿の理論

9/尿路変更児のケア
小児尿路変更術を受ける児の特徴/各術式の術前術後管理

10/間歇的自己導尿のケア
1.CISCに要する必要物品 2.CICの導入 3.CICの継続 4.セルフケア 5.CISCに伴う諸問題 6.在宅自己導尿指導管理料について

11/創傷治癒と創傷・瘻孔管理
創傷治癒過程のメカニズム/創傷治癒過程に応じた管理方法/瘻孔を有する創の管理

12/ドレッシング材の種類と適応
各種ドレッシング材料のしくみと効用/創傷のスタイルにあわせたドレッシング材の選択ポイント

13/ストーマスキントラブルの対応
皮膚の構造と機能/皮膚の発生と生理/乳幼児の皮膚の特徴/ストーマ周囲のスキンケア/ストーマスキントラブルの対応

14/ストーマ閉鎖後のケア
排便コントロール/肛門周囲皮膚炎の発生機序/肛門周囲皮膚炎の予防と対応

15/在宅ケアと社会保障
小児オストメイトの在宅ケア/日常生活について/集団生活/継続ケアの課題/社会保障

●資料A・社会保障  ●資料B・ストーマ用品  ●資料C・ドレッシング材

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