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消化器病セミナー 88
消化管間葉系腫瘍(GIST)の病態・診断・治療−新しい視点
●編集 上西 紀夫
(東京大学大学院医学系研究科消化管外科・
代謝内分泌栄養外科教授)
◆B5判・149ページ
定価4830円(税込)・配送料420円(税込)
ISBN4-89269-430-4

 最近では,消化器系や外科系の学会誌や学術雑誌,さらには学術集会において,GIST(gastrointestinal stromal tumor)に関する論文や発表がないものはない,と言っても過言ではないほどにこの疾患が取り上げられています。これは,Rosaiによる新しい分類の提唱と筋原性および神経原性マーカーの免疫組織学的検討の発展に伴い,これまでの平滑筋腫瘍を中心とした消化管間葉系腫瘍の概念が大きく変化したことがその主たる要因であり,本疾患の病態や診断,治療の面で大いなる進歩が得られつつあります。さらに,c-kit・KITレセプターに関する分子生物学的解析や,これを指標としたチロシンキナーゼ阻害剤による新しい治療の成績が明らかになりつつあります。
 しかしながら,GISTのnatural courseについてはまだまだ不明の点が多く,その起源,発生頻度,悪性化のメカニズムや悪性度の評価,治療の適応と治療法などについては,必ずしも合意が得られているとは言えません。また,悪性GISTに対する新しい治療法は始まったばかりであり,長期にわたる治療とその成績についてはこれからの課題です。
 そこで本書では,GISTの診断,治療にかかわるすべての領域からの検討を行い,現時点で得られている知見や成績を整理することにしました。それにより,何がどこまでわかっているのか,どこがわからないのか,今後の診断・治療上の問題は何か,といったことが,よりいっそう明らかになることを企図しました。
 したがって,各項目の執筆にあたっては,それぞれの専門領域から本疾患に迫り,豊富な経験をもった方々を厳選させていただきました。本疾患に興味と関心がある方すべてにとって,本書が,必ずや日常診療そして研究面においても役立つセミナーになるものと信じております。
 最後に,ご多忙のところ本書の企画にご賛同いただき,素晴らしい内容をご執筆いただいた先生方に心より感謝申し上げます。

2002年9月
東京大学大学院医学系研究科消化管外科・代謝内分泌栄養外科
上西 紀夫

● 目 次
I 定義と病理
1. GIST(gastrointestinal stromal tumor)とGIMT(gastrointestinal mesenchymal tumor)/冨田茂樹・大倉康男・藤盛孝博
GIST(消化管間葉系腫瘍)の歴史的変遷/ 組織学総論として,間葉(mesenchyme),支質または間質(stroma or intestitium)腫瘍のどちらが名称として妥当か?/現行での病理学的なGISTの分類について/GIST(狭義)の細胞由来は?/腸間膜や漿膜におけるGISTの意義/GIST(狭義)の病理組織学的診断
2. 広義GISTの分類と病理組織学的特徴/高澤 豊・深山正久
広義GISTの分類/広義GISTの臨床病理学的特徴/広義GISTの組織学的特徴/まとめ
3. 消化管間質性腫瘍 ・免疫組織学的所見と分類・ /岩下明徳・大重要人
代表的GIMTの組織像/広義のGISTの免疫組織化学的分類と各型の頻度/狭義のGIST の免疫組織化学的所見と亜分類/純粋な免疫組織化学的立場からの広義のGIST の分類/狭義のGISTの生物学的態度,組織像,悪性度の指標および組織発生
4. GISTの分子生物学/篠村恭久
KITの構造/KITとカハール介在細胞/マスト細胞症におけるc-kit遺伝子変異 /GISTにおけるc-kit遺伝子変異/c-kit遺伝子変異とSTI571/GISTにおけるc-kit遺伝子以外の遺伝子異常
5. cDNAアレイによるGISTの遺伝子解析/山本博幸・伊東文生・今井浩三
GISTの臨床と遺伝子解析の必要性/マイクロサテライト不安定性/DNAメチル化の異常/AP-PCR アレイを用いた遺伝子欠失・増幅の解析/cDNA アレイを用いた遺伝子発現の解析/GISTにおける遺伝子発現解析の将来性
II 臨床診断
1. GIST ・頻度と臨床症状/川口 実
頻 度/症 状/症例提示
2. 画像診断(X線,CT,MRI)/魚住和史・大友 邦
画像診断の前提知識/画像診断
3. 胃・大腸GISTの内視鏡所見/三島利之・長南明道
胃GISTの内視鏡所見/大腸GISTの内視鏡所見/GISTの良悪性の鑑別/生検材料採取の工夫
4. 超音波内視鏡と穿刺細胞診/芳野純治・堀部良宗
超音波内視鏡診断/超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診
5. GISTの悪性度の評価/長谷川匡
臨床病理学的パラメータ/免疫組織化学的パラメータ
III 治  療
1. 手術適応と術式/藤村 隆・三輪晃一
手術術式決定にあたり考慮すべき点/治療成績/外科的治療方針/症例
2. 内視鏡的治療(食道・胃における粘膜下腫瘍の内視鏡的切除術)/井上晴洋・工藤進英
食道における内視鏡的切除術/粘膜筋板由来の筋腫に対する内視鏡的粘膜切除術/胸腔鏡下筋腫核出術/小山法への発展/経口内視鏡による小山法の実際/胃の筋原性腫瘍の内視鏡的治療
3. 消化管間葉系腫瘍に対する腹腔鏡下切除/安田一弘・北野正剛
腹腔鏡手術の適応/腹腔鏡手術手技の実際/腹腔鏡下胃局所切除術と胃内手術の合併症とその対策/手術成績
4. 転移・再発に対する治療―新しい治療法を含めて―/真船健一
肝転移に対する手術治療/化学療法・放射線療法/おわりに―今後の治療展開

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